どうもハチワレです。
今回は「問題」と「課題」をわかりやすく解説してみます。
「問題」と「課題」は区別することで、企業や人間の成長の道筋をすごくシンプルにしてくれます。
日常生活にすごく溶け込んでいる言葉ですので、普段の会話でもよく使われますが、きっと多くの人がその区別はできていないような気がします。
例えば・・・
【あなたの会社が今抱えている「問題」と「課題」を教えてください】
企業のヒアリングでよく問われる質問です。
<A社長>
「・・・若い新入社員が入ってこなくて、会社が高齢化していることかな。いくら募集をかけても応募がなくてねぇ・・・。そもそも、この地域は少子高齢化が進んでいるし、若者はみんな都会にいってるから・・・なかなかねぇ。。。人手不足が当面の問題であり、課題かなぁ・・・」
まぁこんな回答とか普通にありそうですね。
では、ここでA社長の回答から「問題」と「課題」を抽出してみましょう。
A社長の回答を素直に聞き入れると「問題」も「課題」も「人手不足」となります。社長本人が発言したことなので間違ってはいませんし、回答の内容的にも「ん~~わかる、わかる」と相槌を打ちたくなります。
ですが、実際は「問題」も「課題」も説明しておらず、人手が不足している現象と、若手社員がはいってこないという現象を嘆いてるにすぎません。
会社を取り巻く環境や現象を嘆くだけでは、企業も人間も成長しません。
ですので、もっと具体的に「問題」と「課題」を区別して捉えることで「何をするべきか」がみえてきます。
問題と課題の違い
問題とは
とりあえず【問題】という言葉を検索すると、次のように解説されています。
①解答を求める問い。試験などの問い。
②批判・論争・研究などの対象となる事柄。解決すべき事柄。
③困った事柄。厄介な事件。
デジタル大辞泉
課題とは
次に【課題】という言葉を検索すると、次のように解説されています。
①与える、または、与えられる題目や主題。
②解決しなければならない問題。果たすべき仕事。
デジタル大辞泉
Webサイトで「問題」「課題」を検索すると以上のような解説となりました。どちらも、言っていることは理解できますが、・・・で、具体的に何が違うの?となります。
逆に違いの説明が難しいほど「問題」と「課題」の言葉の意味が近いということです。つまり、利用する人側の認識で、ある程度の棲み分けを自由に設定しても、誰も違和感を感じずに聞いてくれるような言葉であるとも理解できます。
ですので、自分で棲み分けのルールを作ってしまい、「問題」と「課題」を区別して考えるスキルを身につけてしまいましょう。
「問題」は現在と将来の在りたい姿との差
「問題」という概念の捉え方は、テストや試験などの「問い」をイメージする人もいるかもしれません。
ですが、企業や個人の成長の過程で使用する場合は、現在の姿と将来の在りたい姿の『差』を問題と捉えます。
例えば、3年後に会社の年商を1.5倍にする!!と、将来の会社の姿を描いた場合、現在と将来の差を「問題」と捉えます。
つまり、年間売上1億円の会社であれば、3年後には年間売上1億5千万円に成りたいという将来の姿があり、現在との売上の差である5千万円を「問題」として捉えるということです。
「課題」は問題の差を埋めるための取組
正直なところ、この「課題」という概念の捉え方が、問題と課題のそれぞれの概念を融合させてしまうような気がします。
上記に記載した、3年後の会社の年商を1.5倍にする!!という例をみてみると、売上の差の5千万円を「問題」として捉えることは、大方、間違う人はいません。
ですが、課題を設定しようとすると、
A.「〇〇部門」の売上を5%上げる。
B.営業回りを1日5件に増やす。
と、いうような課題設定をすることがあります。
一見、良さそうに見えますが、Aの方は、何かをやった結果を課題にしています。もう少し言い方を変えると、現在と将来の成りたい姿の差(問題)を設定しています。
課題の設定は、基本自由なので、間違ってはいません。
ですが、「問題(差)」を分析して「より詳細な問題(差)」を導き出しているように見えます。
それでは、Bはというと「やること」を課題として設定しています。問題としてある差を埋めるための、具体的な取組(活動)を課題として設定しています。
課題の設定内容の「良い」「悪い」は別として「やること(活動)」をシンプルに設定しています。課題の設定としてはこちらの方がわかりやすく、すごくいいと思います。
子供の成績を上げるための問題と課題設定
もう少し違う視点で、「問題」と「課題」の設定を考えてみましょう。
例えば、ある中学生が「数学の成績を上げたい」としたときは次のように設定できます。
現状:今回のテストの結果(数学:55点)
現 状:今回のテストの結果(数学:55点)
ありたい姿:次回のテストで数学は70点以上を取る。
問題(差):点数を15点以上伸ばす
以上を問題とした場合、課題は次のように設定することが考えられます。
1.テスト前日まで、毎日、計算問題を10問解
2.テスト前日まで、毎日、応用の問題集を1ページやる。
3.必ず問題の自己採点をして、間違いは赤ペンで修正する。
4.**日と**日に模擬テストをして効果を検証する。
次回の数学のテストの点数を15点以上向上させ、70点以上の点数をとるという目標が設定され、現在(今回のテスト)のテストの点数との差を問題として認識します。この場合、次回も55点をとれる保証はどこにもありませんので、15点の差を埋める課題設定というよりは、70点を取るための課題(やること)を設定します。
これで次回のテストが70点以上であれば、次はさらなる高みを目指して、問題設定を80点にして課題を設定すればいいですし、仮に60点しか取れなかった場合は、課題の見直しやその内容を見直します。
まとめ
言葉は人間のコミュニケーションにおける非常に有効なツールの一つです。しかし、それは、あくまで、相互が言葉の概念に共通の認識ができていることが前提です。
「問題」と「課題」の似たような概念を持つものを、自分が曖昧な区別で使用すると、相手も曖昧な解釈で理解して、相互にズレが生じます。
その結果、問題に対して、どのような活動をすればいいのかわからない課題が設定されてみたり、明確な課題が設定されていても、問題(成りたい姿)を曖昧にしてしまい、課題をこなす事を目的にしてみなりという状況は、個人の生活だけでなく、企業や、行政機関でもよく目にします。
「少子高齢化や人口減少は、この地域の非常に重要な社会問題です!若者が地域に残り、子育て世代が住みやすい環境を造ること私は約束いたします!」あなたの住む市町村や都道府県の議員や首長は、このような事を選挙で言っていませんか?
たぶんですが、「問題」を少子高齢化や人口減少に設定し「課題」を若者が残る地域、子育て世代が住みやすい環境づくりに設定しているように捉えることができます。
ですが「問題(成りたい姿)」を具体的に示さず、曖昧にしています。
現状から、いつまでに、どのようにしたいのか、を全く示していません。そのため、人によっては、少子高齢化や人口減少を食い止めようとしているようにも聞こえますし、もっと飛躍的に解釈する人は、若者の定住者を増やして、その地域の人口ピラミッドの構造を変化させる取組をするんだと解釈してしまう人もいるかもしれません。
つまり、「問題(成りたい姿)」を曖昧にしていることで、ゴール地点も不明のままです。よって「課題」はいかにもそれっぽいことを設定してしまえば、成果や効果はゴールがないので測定できませんので、とりあえず課題に取り組んだ今の現状が、最善の結果として評価されてしまいます。つまり、問題を提示しない政治公約は、いかようにも解釈でるので、失敗はないということです。
「この地域の少子高齢化と人口減少は深刻です。それを解決するため、この先、10年で65歳以上の方の2/3は、死んでいただくか、この地域から出ていってもらいます。そして65歳以上の高齢者の人口割合を5%にまで減らします。そして若者や子育て世代を増やすため、世界中から若い世代の難民を5万人受入し、この地域に住んでもらいます。」
内容はどうあれ、選挙においては、これぐらい明確に「問題」(成りたい姿)を提示した方が、立候補者と有権者の地域づくりの認識にズレはなくなります。
ということで、「問題」と「課題」を明確に区別して使用するスキルが上がれば、物事をすごくシンプルに考察していくことができるのです。