どうもハチワレです。
今回は、事業協同組合で年度末になると少し「ザワザワ」する出資金の変更に関する手続きについて解説します。
原則として、事業協同組合の場合は期末日から4週間以内となりますが、その根拠と登記に必要な書類「ひな型」をご活用ください。
- 年度末に脱退する組合員がいる組合事務局
- 出資金の変更の登記手続きが分からない人
- 出資金変更の登記に必要な書類が欲しい人
出資金額変更登記の時期
事業協同組合も株式会社も、出資を受けて設立した企業や組織は、出資金額に変更があった場合は、法務局に登記が必要です。これを怠ると代表理事に過料が請求される場合もありますので注意してください。
なお、「中小企業等協同組合法」と「会社法」では登記する時期や猶予期間に違いがあるので間違えないようしましょう。
(変更の登記)
第八十五条
組合又は中央会(以下この章において「組合等」という。)において前条第二項各号又は第四項各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、変更の登記をしなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、前条第二項第五号に掲げる事項中出資の総口数及び払込済出資総額の変更の登記は、毎事業年度末日現在により、当該末日から四週間以内にすれば足りる。
中小企業等協同組合法
中小企業等協同組合法では、毎事業年度末日から4週間以内に登記することとなっています。そのため、3月末が決算の組合においては、4月28日までに登記すればOKです。
理由は、事業協同組合は原則として、組合員が、どんなに早く脱退の告知を行っても、基本は年度末での脱退となるからです。
慌てずに、対応しましょう。
(変更の登記)
第九百十五条
会社において第九百十一条第三項各号又は前三条各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない。
第九百十一条第三項各号
(株式会社の設立の登記)
第九百十一条 株式会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる日のいずれか遅い日から二週間以内にしなければならない。
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3 第一項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店及び支店の所在場所
四 株式会社の存続期間又は解散の事由についての定款の定めがあるときは、その定め
五 資本金の額
六 発行可能株式総数
七 発行する株式の内容(種類株式発行会社にあっては、発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容)
八 単元株式数についての定款の定めがあるときは、その単元株式数
九 発行済株式の総数並びにその種類及び種類ごとの数
十 株券発行会社であるときは、その旨
十一 株主名簿管理人を置いたときは、その氏名又は名称及び住所並びに営業所
十二 新株予約権を発行したときは、次に掲げる事項・・・・・
会社法
株式会社などの会社法が適用されている法人の場合は、出資金に変更があってから2週間以内に登記する必要があります。これは、事業協同組合のような年度末などは関係なく、変更が発生してから2週間以内です。
登記に必要な書類
証明書
この証明書は、監事が作成した、年度末時点の組合の「出資の総口数」と「払込済出資総額」が記載書類のことを指します。
組合によっては監事が複数名いる場合がありますが、この証明書では必ず全員が記名、署名する必要はありません。1名の監事でも問題ありません。そして監事であることを証する書面も添付は不要です。
また、現在は、作成した監事の認め印も不要です。
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出資金変更登記申請書
法務局に提出する申請書です。法務局から参考となる「ひな型」がUPされてますので、Wordファイルに落とし込みました。特に難しいことはありませんが、代表理事本人ではなく、代理人の方が提出される場合は委任状が必須です。そして、この登記申請書の代表理事の記名箇所に代表印は不要になり、別途作成する委任状に押印する必要があります。そして、代理人の方は認め印でいいので記名箇所に押印します。
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委任状
代表理事に代わって、法務局に登記申請に行く場合は、この委任状が必要になります。委任する者の個人の住所と名前を記入し、何を委任するのかを具体的に記載ます。
そして、この委任状に代表理事が記名し法務局に登記している理事長印を押印します。
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まとめ
事業協同組合の出資金の変更登記は、監事の証明書と登記申請書(必要な場合は委任状)を作成し提出することで完了する簡単な手続きです。
ですが、忘れたりすると「登記懈怠」として過料が発生し、代表理事に裁判所から請求書が届く可能性もありますので注意してください。
また、面倒くさいから、5月の通常総会が役員改選期だし、代表理事の変更登記と一緒に処理しようなどすると、これも「登記懈怠」に問われる可能性がありますので注意してください。