組合役員の辞任からその補充までを解説します

どうも、ハチワレです。

 今回は、組合役員の補充について解説します。

 3月や12月は期末としている組合も多いと思います。そうすると、なぜが、組合の役員から「おれ。。。今年度で役員を辞めたいけど。。。いい?」という連絡があったりします。

 組合の事務局からすると「せめて、次の改選期まで何とか、お願いします・・・」となりますが、報酬もない、ボランティア役員であれば、無理強いするのも心が引けます。

 今回は、そんな役員の辞任から、その補充までの手続きを解説いたします。

こんな人にお勧め
  • 組合の役員を辞任しようと考えている人
  • 組合役員から辞任の相談を受けている組合事務局
  • 監事の人を理事にしようと考えている組合
  • 役員の辞任に関する事務手続きに迷っている人
目次

役員の辞任

 勝手な憶測ではありますが、組合役員の方が何の前触れもなく、突然「辞任届」をもってくるということは、ほぼ無いと思います。

 概ね、突然電話で「おれ、役員、辞めたいけど・・・いい?」という告知があると思います。もちろん、引き止め工作はすると思いますが、継続は難しいことが多いです。

 最終的に、やっぱり辞任するとなった場合は、特に法や定款に定めらルールはないのですが「辞任届」は提出してもらいましょう。

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役員定数の確認

 組合の役員から辞任したい申し出や、役員が死亡したなどの情報がはいったら、まずは、自分の組合の定款で「役員の定数」を確認します。

(役員の定数等)

第25条 役員の定数は、次のとおりとする。

(1)理事 〇人以上〇人以内

(2)監事 〇人以上〇人以内

 ※組合によっては定数に幅を持たせずに次の様に記載している場合もあります

 (1)理事  〇人

 (2)監事  〇人

定款の参考例

 減員となる役員を差し引いた役員数が、定款に記載してある「役員の定数」の範囲であれば特に慌てる必要はありません。すぐに補充してもいいですが、次回の役員改選期までそのままでもOKです。 

 少々面倒くさいのが、役員の人数が、定数の1/3を超える欠員状態になってしまった場合です。中小企業等協同組合法では3ヶ月以内に補充することが明記されています。

(役員)第三十五条 組合に、役員として理事及び監事を置く。

 理事又は監事のうち、その定数の三分の一を超えるものが欠けたときは、三月以内に補充しなければならない。

中小企業等協同組合法

 つまり、次回の通常総会や役員改選期と悠長に待っていることができません。すぐに総会の準備をして新たに役員を選出する段取りを付けていかなければいけません。

役員の選出

 役員の補充であっても、通常の役員改選期のように、原則として組合役員は「総会」で選出しなければいけません。

(役員)第三十五条 組合に、役員として理事及び監事を置く。

 理事の定数は、三人以上とし、監事の定数は、一人以上とする。

 役員は、定款の定めるところにより、総会において選挙する。ただし、設立当時の役員は、創立総会において選挙する。

中小企業等協同組合法

 ちなみに、法律では「定款の定めるところにより、総会において選挙する」と記載されていますので、参考例から抜粋すると次のようなります。多くの組合が同様の内容となっていると思います。

(役員の選挙)第33条 役員は、総会において選挙する。

2 役員の選挙は、連記式無記名投票によって行う。

3 有効投票の多数を得た者を当選人とする。ただし、得票数が同じであるときは、くじで当選人を定める。また、当選人が辞退したときは、次点者をもって当選人とする。

4 第2項の規定にかかわらず、役員の選挙は、出席者全員の同意があるときは、指名推選の方法によって行うことができる。

5 指名推選の方法により役員の選挙を行う場合における被指名人の選定は、その総会において選任された選考委員が行う。

6 選考委員が被指名人を決定したときは、その被指名人をもって当選人とするかどうかを総会にはかり、出席者の全員の同意があった者をもって当選人とする。

定款参考例

 つまり、組合の役員は、いかなる理由であっても、総会における「選挙」か「指名推選」で選出しなければいけない、ということです。

 通常総会まで待てないような場合は、少し手間となりますが、臨時総会を開催して役員を選出しましょう。

 もちろん、その臨時総会も定款に記載されている手順を踏みますので、理事会の決議を経て開催になります。

監事から理事への繰り上げ

 少し言葉に語弊があるかもしれませんが、「理事に欠員がでたから、監事の1人を理事に繰り上げる」といった対応を考える組合があります。

 しっかりとした手順を踏めば対応可能ではありますが、役員会や理事会を開催して勝手に監事の人を理事にすることは認められませんので注意してください。

 組合組織の中で理事が上で監事が下ということはありませんので「繰り上げる」という表現が適切ではないかもしれませんが、理事も監事も総会で選出された役員ということで、役員会や理事会などの執行部で、役員の種別を自由に変更できると認識している方もいます。

 同じ総会で選出された役員であっても、理事と監事は区別されて選出されていますので、組合の理事や執行部の都合で、その区別を自由に異動させることはできませんので注意してください。

 それでも、理事が1人欠員となった時、監事の1人を理事にするという対処はよくある話です。

 その場合の手続きは次のとおりになります。

STEP
辞める理事から辞任届をもらう
STEP
理事になってもらいたい監事からも辞任届をもらう
STEP
総会を開催する
STEP
指名推選で辞めた監事を理事に指名する
STEP
全員から承認をもらう。

 理事と監事の役員を重複で就任することはできませんので、理事にしたい監事の方にも辞任してもらう必要があります。

 そして、総会を開催して選出します。選挙での選出も可能ですが、この場合、意図する人でない方が当選する可能性もありますので、指名推選の方がいいかもしれません。

 ただし、指名推選であれは、指名した人物の役員就任を、出席者全員から承認をとる必要があります。

役職理事の選任は理事会で決める

 監事を理事にする場は、上記のとおり監事を辞任させて、総会を開催して、理事として選出する手続きとなりますが、役職理事の穴を埋める補充は理事会でOKとなります。

 例えば、副理事長が理事を辞任したとします。

 この場合、辞任した副理事長を外しても、現職理事の数が定款の理事の定数の範囲内であれば特に理事を補充する必要はありません。

 しかし定款に「副理事長を〇人選定する」というようなことが記載されているはずですので、副理事長の役職が一つ空席となり、定款違反の状態になります。

(理事長、副理事長及び専務理事の選定)

第29条 理事のうち1人を理事長、1人を副理事長、1人を専務理事とし、理事会 において選定する。

定款参考例

 そのため、理事会を開催し、現職理事から副理事長を選任しなければいけません。理事の役職を決めるだけですので、この場合は理事会でOKとなります。

まとめ

 なお、補足として、

 組合においても会社法同様に、役員の定数を下まわる欠員となった場合は、残任義務があり、次の役員が決まるまで役員の責任はついてまわりますのでご認識下さい。場合よっては、辞任届を提出したからといって、すべて開放されるというわけにはいかないこともあります。

(役員に欠員を生じた場合の措置)

第三十六条の二 役員が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。

中小企業等協同組合法

 以上、組合役員の辞任からその補充までを説明してみました。

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