どうも、ハチワレです。
今回は、組合の役員選出に関する「指名推選」について解説します。
おそらく、組合の役員改選では多くの組合が「指名推選」による役員選出を実施していると思います。
ですが、ここでもポイントを押さえておかないと、無効になる可能性がありますので注意してください。
従来から実施しているやり方が100%正しいという認識で進めていると、ある時小さなほころびから、大きく覆されることもあります。
改めて、正しく指名推選の方法が実施されているのか確認してみましょう。
- 役員改選に関する「指名推選」について知りたい人
- 慣例的に実施されている「指名推選」の内容を知りたい人
- 組合が内部分裂の兆候があり、役員改選が心配な人
- 「指名推選」の進め方を理解したい人
指名推選のルール
そもそもですが、組合役員の選出は原則「選挙」です。
これは、中小企業等協同組合法にも記載されておりますのでご確認ください。
(役員)
第三十五条 組合に、役員として理事及び監事を置く。
2 理事の定数は、三人以上とし、監事の定数は、一人以上とする。
3 役員は、定款の定めるところにより、総会において選挙する。ただし、設立当時の役員は、創立総会において選挙する。
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8 役員の選挙は、無記名投票によつて行う。
9 投票は、一人につき一票とする。
10 第八項の規定にかかわらず、役員の選挙は、出席者中に異議がないときは、指名推選の方法によつて行うことができる。
11 指名推選の方法を用いる場合においては、被指名人をもつて当選人と定めるべきかどうかを総会(設立当時の役員は、創立総会)に諮り、出席者の全員の同意があつた者をもつて当選人とする。
12 一の選挙をもつて二人以上の理事又は監事を選挙する場合においては、被指名人を区分して前項の規定を適用してはならない。
中小企業等協同組合法
ですので、定款に「指名推選」での実施も可能することが記載されていれば、指名推選による選出が可能となります。
自分の組合の定款をまずは確認しましょう。次のような条文があれば実施可能となります。
定款
(役員の選挙)
第33条 役員は、総会において選挙する。
2 役員の選挙は、連記式無記名投票によって行う。
3 有効投票の多数を得た者を当選人とする。ただし、得票数が同じであるときは、くじで当選人を定める。また、当選人が辞退したときは、次点者をもって当選人とする。
4 第2項の規定にかかわらず、役員の選挙は、出席者全員の同意があるときは、指名推選の方法によって行うことができる。
5 指名推選の方法により役員の選挙を行う場合における被指名人の選定は、その総会において選任された選考委員が行う。
6 選考委員が被指名人を決定したときは、その被指名人をもって当選人とするかどうかを総会にはかり、出席者の全員の同意があった者をもって当選人とする。
定款
指名推選の実施のためには、定款に上記の4項と5項、6項が記載されている必要があります。
指名推選の進め方
組合役員の選出は原則「選挙」ですので、指名推選は選挙に代わる組合の役員の選出方法です。
そのため、議長や現職理事等の組合執行部が事前に根回し、準備よく次の役員候補をリストアップしているからといって、勝手に「指名推選」一択で役員改選をする総会は、選出された役員が無効となる可能性があります。
総会の進行の中で、指名推選にすることを議場に諮り、全員から承諾をもらう事が必須です。
また、定款で役員の定数が理事および監事ともに「〇人」とされている場合は、その人数を選出すればOKですが、「〇人以上〇人以内」「〇人または〇人」と役員定数に幅をもたせている場合は、何人選出するのかを必ず議場に諮り、承認をもらいましょう。
指名推選が慣例的になると、組合執行部側が用意した役員候補が先走りし、選出人数について総会の承認を得ないまま、進めてしまうことがあります。
認められないことはないと思いますが「なんで勝手に、執行部や選考員が役員の人数を決めて選んだの?」と後になって指摘されないためにも、議場に諮るものは、しっかり諮りましょう。
総会における指名推選の進め方は次のとおり
- 本総会で役員改選(または補充)が必要であること告知
- 選出方法を議場に諮る(選挙or指名推選)
- 指名推選の方法で実施することを議場に諮る(全員の承諾)
- 理事および監事の選出人数を諮る
- 選考員をどうするか諮る(選考員を誰が選ぶか、何人選ぶか)
- 選考員の選び方を議場に諮る(全員の承諾)
- 選考員を選出して議場に諮る(全員の承諾)
- 総会を休憩
- 選考員から役員候補者を紹介
- 役員候補者について議場に諮る(全員の承諾)
- 選出された候補者からも就任承諾をもらう
なお、総会議事録の参考様式を確認することでも、指名推選の方法が理解できます。
\ ダウンロードできます/
否認者がいた場合
指名推選の進め方の原則は「全員の承認」を取りながら進めることです。
しかし、最後の最後、選考員に選ばれた役員候補者を諮ったとき、議場から1人でも「否認」という声が上がれば、指名推選はふりだしに戻ります。
無情・・・です。
おそらくですが、指名推選の方法で進める場合は、組合執行部においても、ある程度役員候補者を選出し、事前にその承諾を取り付けている状態で総会を開催しますので、役員候補として選出されて、全員に承認されたあと、本人から役員就任の拒否という展開はほぼないと思います。
ただし、執行部の思惑どおりに指名推選が進み、役員候補者の紹介まで進めた最後に、議場から「NO!」を突きつけられることは稀にあります。
その場合は、もう一度、役員改選の議案から総会をやり直します。
このようになると、役員改選が泥試合の様相となります。一旦総会に休憩時間を入れ、次の様な展開を想定しましょう。
選挙の実施
組合の役員改選の原則に戻ります。投票で選ばれた者は自分が辞退しないかぎり、役員に就任できます。他人から否認されることはありません。
ただし、投票用紙などの選挙準備ができていないと実施は難しいかもれません。
指名推選の実施
指名推選は、1総会に1回というルールはありません。
段取りを踏んで再度指名推選を実施することは可能です。
ただし、役員候補者を変えないと全員からの承認はもらえない可能性が高いため、役員候補者として事前に根回ししていた何人かの心を傷つける可能性のほか、新しく候補者に選ぶ人からも就任承諾を取り付けなければいけません。
総会の続行
その役員改選について、日を改めて実施するという選択もできます。
時間を作って、選挙を準備をする、または、役員候補者の再考や根回し等をするなどの対策が可能となります。
まとめ
指名推選においては、実施も結果もすべて、全員からの承認が必須となります。
また、中小企業等協同組合法では、全員からの承認を得られれば認めるけど、理事や監事を1人ずつ認めていくことはダメです。と明記しています。
(役員)
第三十五条 組合に、役員として理事及び監事を置く。
2 理事の定数は、三人以上とし、監事の定数は、一人以上とする。
・・・・
・・・・
11 指名推選の方法を用いる場合においては、被指名人をもつて当選人と定めるべきかどうかを総会(設立当時の役員は、創立総会)に諮り、出席者の全員の同意があつた者をもつて当選人とする。
12 一の選挙をもつて二人以上の理事又は監事を選挙する場合においては、被指名人を区分して前項の規定を適用してはならない。
中小企業等協同組合法
つまり、
「役員候補者全員を紹介したら否認者がでたので、候補者を1人ずつ紹介して承認をもらい、否認対象となった嫌われ者を特定して別の者を候補者にします。」といった公開処刑のようなことは認めません!!ということです。
選考委員が選出した役員候補者全員を認めるか認めないか、いずれかの選択肢だけであるということです。