協同組合の解散と清算までの流れと事務手続きを解説

 どうも、ハチワレです。

 今回は事業協同組合の解散から清算までの流れを事務手続きも含めて紹介します。

 おそらくですが、多くの企業支援機関や、当道府県中央会では「解散」まではお付き合いしてくれると思いますが、清算までとなると、勝手にどうぞとか、あとは専門家に聞いてください。。。と投げられてしまうかもしれません。

 たとえば、3月31日に事業協同組合は解散する決議が行われたとします。そうすると、4月1日以降に粛々と解散の事務手続きが行われると思いますが、組合支援が主な業務である都道府県中央会では、決算期間が4月1日~3月31日ですので、4月1日以降、その年の賦課金が支払われない組合を手厚くフォローするとなると、賦課金を払う組合員に示しが付きません。もちろん、清算法人となっても清算結了まで賦課金を支払い続けますので、よろしくお願いしますとなれば話はちがってきますが、概ね解散の総会とその登記までが支援の対象のようです。

 協同組合の解散を考える際は、司法書士さんや税理士に事前に相談し、清算結了までに必要な支払経費も含めて、いくらっ面倒を見てもらえるのかを算段することが大切です。

 そうはいっても、事業がうまく回らずに、解散する選択肢を選んだ組合であれば、やはりお金がありません。。。

 ですので、少しお節介と思いますが事業協同組合の解散から清算結了までの流れや事務手続きを紹介します。

こんな人にお勧め
  • 年度末にきて組合解散の話が出てきた組合
  • 組合の解散までの流れを知りたい人
  • 組合の解散に必要な書類が分からない人
  • 組合解散や清算結了に必要とする書類のひな型が欲しい人
目次

組合解散までのスキーム

 事業協同組合ですが、設立の際は、所管行政庁の認可をもらって設立はしましたが、解散については、自分たちの総会を開催し、解散を決議すること、すぐに解散ができます。

 ただし解散の決議については、中小企業等協同組合法において、特別議決事項に該当するので、過半数の組合員が出席している総会で2/3以上の賛成が必要なります。

 解散のタイミングは、年度末をもって解散が多いかもしれませんが、普通に年度超して、通常総会に併せて解散するというところもあるようです。

 いずれにしても、解散となった時点ですべての荷が下りるわけではありません。単に普通の法人が解散となった時点で事業をしない清算法人に移行しただけです。そのため清算結了となるまでは税金の均等割はかかっていきますので注意した方がよいです。

 それじゃ、解散してから、すぐに清算結了と行きたいと思うのですが、解散においては清算人の登記や、債権者保護などの手続きもあり、どんなに短くしようとしても2ヶ月はかかるのでご理解下さい。

 まずは解散から清算結了までの流れを簡単にExcelに作ってみましたので流れだけでも把握してください。また、流れの中に記載れている資料①~⑫についても、ひな型として用意しておりますので一緒にご確認してください。

 事務手続き①

解散総会

 通常総会であっても臨時総会であっても問題はありません。総会の招集手続きを経ながら総会の案内をして開催します。解散の議案につては特別議決事項に該当しますので、過半数以上の組合員が出席している総会の2/3以上の賛成をもって決議されます。

 ことのき、清算人を選任しますが、特に取り決めがなければ、中小企業等協同組合法では理事が清算人となるとしています。この場合、理事は複数名いるので、代表清算人も決めることがいいと思います。特にルールはないので代表理事を決めるように互選でOKです。

 ですが、規模も大きくなく、信頼できる人がいる人にお任せしたいというなら、事業協同組合の清算人を1人だけで選ぶというのも一つの手段としてはあります。

解散の登記と改印届

 総会で決議した解散日が過ぎたら、後は法務局に解散の登記が提出できます。総会議事録を添付して速やかに登記を行いましょう。(法律上は解散日から2週間以内の登記ですが、すぐに取りかかりましょう。理由は所管行政庁に解散届を提出するのですが、場合によっては証拠書類として解散の登記簿謄本の提出を求められることがあります。所管行政庁への届出も解散から2週間以内の提出となっておりますので、解散登記は早めにしておきましょう。

 また、理事長が清算人にならない場合は、改印届も必要となる可能性がありますので一応準備はしておきましょう。

解散届と脱会届

 法務局から無事に解散の登記が完了した知らせがきたら、法務局に赴き、登記簿を取りましょう。この解散した登記簿をコピーして、関係機関に解散した報告をしていきます。

1.所管行政庁(国、県、市)へ解散届と総会議事録、登記簿謄本を提出します。

2.都道府県中央会に加入している組合も多いと思います。脱退届と総会議事録、登記簿謄本を提出します。おそらく、都道府県中央会に加入しているのであれば、所管行政庁への解散届も一緒にしてくれるはずです。

税務署、県及び市へ異動届

 法務局で解散の登記簿謄本がとれるようになったら、税務署及び県・市の税務関係の窓口に忘れずに異動届(解散)を提出しましょう。

事務手続き②

決算書の作成

 組合の解散は、概ね年度末のタイミングが多いと思いますが、決算の内容については例年と大きな差はありません。組合の財産を金額で示し、それを監査し、総会に諮って承認をもらうだけです。

 そしてその決算で示された貸借対照表と財産目録が、解散時点での組合全財産となります。

 そして、その完成をもって、以下で紹介する「解散の公告」を行い、債権者保護の手続きをとりますので、ここの決算書作成の作業や承認の作業が遅れると清算結了も遅れます。

解散の公告

 意外と忘れがちなのが「解散の公告」です。借金も無い、固定資産も無い、流動資産しか財産がない組合は、スムーズに財産分与ができるので、清算結了まで行きそうなのですが、この公告をした事実がないと、清算結了が遅れてしまうことがるので要注意です。

 公告の方法は定款に記載されているとおりに実施します。おそらく定款は「第5条 本組合の公告は、本組合の掲示場に掲示してする。」と記載されいると思いますが、その場合は組合事務の正面入り口に貼るだけでOKです。

 そして、この公告の期間は2ヶ月を下回ってはいけませんので注意してください。

 また、法律では「知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。」となっておりますので、少額であっても債権者には連絡しましょう。 

残余財産の確定

 解散の公告をした後、債権者には必要な支払をすべて行います。そして固定資産もすべて売却し、余った現金・預金が組合の財産という状態にしてしまいます。

 そこから残余財産を出資総口数で割って、組合解散時の出資一口の金額を計算します。持分の払い戻しについてはその出資一口の金額を基準に組合員が出資している分だけ出資金を払い戻します。

<例>

出資一口の金額:10,000円

出資総口数:200口(A社:40口、B社:30口、C社:45口、D社:20口、E社:42口、F社:23口)

出資金:2,000,000円

残余財産:2,694,000円

残余算産/200口 = 13,470円(1口分の持分)

A社への払い戻し:13,470円 x 40口 =538,800円

 なお、端数の金額については定款の19条あたりに処理方法を記載していると思いますので参考にしてください。

清算結了総会

 残余財産を組合員に分配し、組合の財産をすべて整理できたら、清算事務報告書と決算報告書を作成し、総会を開催して承認をもらいます。

清算結了の登記

 清算結了総会で残余財産の清算が終わったことの承認をもらったら、最後に法務局へ清算結了の登記をして完了となります。また忘れずに清算結了した登記簿謄本で税務署などにも報告します。

まとめ

 組合の解散は総会でいつでもできます。

 ですが、その事後の手続きが意外と面倒くさいことが多いです。税理士や行政書士、司法書士にお願いすることが一番楽ですが、その分費用はかかりますので、戻ってくる持分が減ったり、場合によってはその費用を残った組合員で負担することになります。

 ただ、自分たちでできなことはありません。

 それと、解散を登記したからといって、税金がなくなるわけではありません。県や市の均等割りの部分は清算結了するまで、請求されることもありますのでそれも踏まえて解散手続きをすすめましょう。

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